くらしと生活

60歳、夫婦で年金の繰上げ請求をした簡単な方法

老後の生活を支える大切な年金

年金の制度設計は複雑な上、収入という努力以外の要因である生まれた年(世代)によっても将来受け取る額に大きな差が出てきます。自分の親世代並みの条件で支給されたらと羨ましく思う方も多いのではないでしょうか。現在の若い世代になると、更に年金の価値観が低下して希望の無い老後を強いられる可能性があります。

年金だけで豊かな老後生活を送るのは、今となっては幻想となってしまいましたが、そんな時代に生きていく以上、年金の受給タイミングについても慎重に考え、受け身ではなく積極的に自分から情報を取り、後悔しない判断をする必要がありますね。

現在の年金といえば、満額支給される65歳からの受給が基本ですが、60歳に到達すると今まで収めてきた納付額に応じて年金を受給する権利が発生します。

当然、年金に対する考え方や受給の仕方は人それぞれで、65歳になる前に受給手続きをする繰上げ受給と70歳や75歳から受給する繰り下げ受給が別の選択肢としてあります。

どちらも一長一短あり、受給については自己判断となります。よくニュース等で見聞きする話題なので、あえてここでは詳細について説明を加えませんが、ここからは私が4月に年金制度が改正されたタイミングを待って、実際に手続きをした『年金の繰上げ請求』について書いていきます。

夫婦共に繰上げ請求をした際の流れを記しました。
何かの参考にして頂ければ嬉しいです。

参考:令和4年4月の年金制度改正(日本年金機構)

ねんきんダイヤルへの問合せ

ねんきんダイヤルでは一般的な年金の相談を受け付けていて、年金事務所に直接問い合わせるのとは別に、疑問点や確認したい事を教えてもらえるのでとても便利です。今回、自分が代表して妻の請求を代行する際の注意点や請求方法等について問い合わせた際、担当者の方にとても役立つ情報をひとつお聞きしました。

ポイント

自分の住む地域を管轄している年金事務所に疑問点や確認したい内容を『おたずね』として封書で送付すると回答が返信されて来ます。
なお返信封筒の同封は不要です。

ねんきんダイヤル 電話番号:0570-05-1165

年金事務所へのおたずね

年金事務所への『おたずね』の書面については様式は問わず、下記の項目を記載して夫婦それぞれ一枚ずつ作成します。内容について重複する場合は、夫の方に代表して記載するだけでかまいません。

・基礎年金番号
・氏名
・生年月日
・電話番号(日中連絡の取れやすい電話)
・おたずねの内容を具体的に記入

『おたずね』に記載した内容(例文)

・夫が妻の手続きも代行する場合、妻の委任状は必要か
※結果的には必要で決められた様式あり  日本年金機構:委任状様式及び記入例
・現在の年金見込み額
・繰上げにより減額れた後の年金見込み額
・自分が亡くなった後に妻に残せる遺族年金の見込み額
・請求時に必要な書類について

年金事務所から届いた回答書

封書を発送してから、約2週間ほどで回答書が自宅に送られてきました。質問項目に対する丁寧な回答が記されており、試算結果表 (現在の年金見込み額・繰上げ後の年金見込み額・遺族厚生年金の見込み額)と委任状と記入例、相談予約についてのパンフレットが同封されていました。

年金繰上げ請求を検討する場合、繰上げにより減額された年金だけでは当然生活に余裕はもてません。家計の変動要素を可能な限り長いスパンで想定し、年金を受給しながら出来るだけ長く働ける環境があり、夫婦で老後を全う出来るかどうかシュミレーションをする事が必要となります。

それには今回のように必要な情報を集める手段としても書面による問い合わせは、とても有効であると感じました。また、見込み額等の数値データーがあると決断に必要なストーリーがイメージ出来、請求手続きの途中で迷う事がなくなるという利点があります。

年金相談及び請求手続きに必要な書類 (夫婦の場合)

  • 支給繰上げ請求書 自分と妻の分 2部
  • 委任状 (妻が直筆にて記入)
  • 本人確認 運転免許証
  • 年金手帳 自分と妻の分 2冊
  • 戸籍謄本 1部
  • 預金通帳 自分と妻の分 2冊
  • 雇用保険被保険者番号が確認出来る書類

※支給繰上げ請求書は事前に記入していくと手続きがスムーズに進みます。
※支給繰上げ請求書のダウンロードはこちらから

年金事務所での相談予約

予約受付専用電話にて所轄となる年金事務所の相談日時を予約します。
目的は一般相談ではなく、繰上げ受給の請求手続きをする事を明確に伝え、
直近で空きがある日を確認して頂き、指定された日時で予約を取りました。

相談者及び請求手続きには、一人約45分の持ち時間があり、二人分だと最長で90分の持ち時間になるとの事でした。ここでも、当日手続きに必要な書類関連について教えてくれます。

予約受付電話番号:0570-05-4890

年金事務所での相談及び受給手続き

年金事務所の受付にて整理券を受取り、番号を呼ばれるまで待っている間に周囲を見わたすと、事務所内はブースがパーテーションにより細かく区切られており、コロナ感染症対策及びプライバシーを考慮した設計となっていました。それにしても立派な建物と事務所だと変なところに目が行きます。

番号が呼ばれ、ブースに入り手続き開始です。ちょっと緊張します。
担当者には、予約受付の方から繰上げ受給の請求手続きの件が共有されていたので、その後の進行はとてもスムーズでした。用意していた書類を提示依頼される都度、確認して頂きます。

・本人確認のため免許証を提示、氏名、生年月日の確認
・年金手帳及び基礎年金番号の確認
・繰上請求する事によるデメリットの説明を受ける。
・減額された後の見込み年金額の試算表を提示される。

今回、私の場合は60歳6ヶ月で受給請求をしましたので、繰上げによる減額率はひと月あたり27.0% (65歳到達まで54ヶ月 × 月当たりの減額率0.5%)になります。夫婦合算で月額5万円ほど減額される計算になります。4月の年金制度改正により、昭和37年4月2日以降生まれの方は、0.4%に下がりましたが、残念ながら私は対象外でした…。

数枚綴りの繰上げ請求に関する申請書(持参した申請書とは別)を担当者の指導を受けながら記入、この書類が一番記入箇所が多くて時間がかかりました。自分の分と妻の分を2部作成して提出します。

・注意事項に署名

最後に年金請求(国民年金・厚生年金保険老齢給付)の受付控を頂いて、質問事項がなければこれて終わりです。書類が審査部にまわり、1~2か月の期間を経て受給決定となると自宅に通知が来るとの事。私の場合は、数ヶ月の記録漏れがあったので修正含めて時間がかかり、8月からの受給予定になりました。(請求が4月にて、5月分から支給される)

年金の繰上げ請求は、一度請求したら一生減額された金額が続くというリスクを取る選択の為、必ず所轄の年金事務所に直接出向かなければなりません。そこで繰上げのデメリットについて説明を受け、すべての説明に了承しなければ請求手続きは完了しません。後々のトラブルを避ける為にも必要なのは十分に理解できます。

あとがき

現在、繰上げ受給を選択する人は全体の30%程度と言われていますが、様々な社会不安と連動した年金制度に対しての不安は高まるばかりで、5年ごとに見直される制度改正で支給開始年齢が70際に引上げられたり、支給額が更に減額される可能性がある為、今後は増加する傾向にあると予想されます。

国としては、できるだけ長く働き受給開始年齢を引上げると受給額も増えるとの理由から繰り下げ受給を推奨していますが、夫婦ともに健康年齢は未知数であり、選択肢が増える中で今回の繰上げ受給については難しい判断だったとは思います。

結果的に老後破綻になどならないように夫婦で力を合わせて将来的に努力していきたいと思っています。

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